滑稽道外非実在風呂

『滑稽道外非実在風呂』 こっけいどうけひじつざいぶろ
天気も薄ぐもって、ももんがぁがガーガー飛びだす時間帯、
ここは妖界の下町、8億丁堀にあるボロ長屋。
そこに住んでる淫羊(いんよう)の女のコ、お淫(いん)ちゃんのもとへ、
近所に住んでる同類のお霍(かく)どんが、駆けて来て、跳んで来て、
障子を勢い強く破りぎみにガラリと開けて、
霍 「おーい、いんちゃん、居るかーい」
淫 「なんだよ、あーあー、泥足で上がって来やがって」
霍 「知ってる? 知ってる? 知ってる?」
淫 「また懸賞のクイズかなんかでわかんない問題が出たんだろ、いいかげん自分で教科書でも百科事典でも引っぱり出して調べてみろよ、ベンキョーになるから」
霍 「もんだいです」
淫 「聞いてないな、オイ」
霍 「(雑誌か何かのきれはしを読み上げながら)エ……ト……、人間界に伝わる、世界三大美女とは、クレオパトラ、楊貴妃、あとのひとりは誰でしょう?」
淫 「なんだ、それが聞きたい事か」
霍 「そう、このクレープとヨーグルトの仲間の名前が知りたい」
淫 「(無視しつつ)そんなのカンタンだ、初歩だよ、初歩、そんなクエスチョンは」
霍 「誰? だれ?」
淫 「小野ヤスシだ」
霍 「そうか(めもめも)やっぱり、いんちゃんは物知りだなー」
淫 「こんなのは常識の範疇だぜ」
霍 「じゃあさ、向うの通りにさ、あたらしい銭湯が出来たの知ってる?」
淫 「あたらしい銭湯? ああ、そんな事どっかで聞いたなぁ」
霍 「これからさ、行ってみようよ」
淫 「銭湯にか? 別に、行きたいとは思わないな」
霍 「なんでも、面白いらしいよ」
淫 「お前が面白いよって勧めてくる情報は、大抵あてにならない」
霍 「べたっ」
淫 「あっ、このヤロぅ!! あーあーあー……泥だらけのぞうりくっつけやがって!! わかったよ、行くよ、バカ!!」
霍 「じゃ、さっそくレッツあんどゴー!」
淫 「……ハァハァハァ」
霍 「……ハァハァ、ごふぇっ」
淫 「……ハァハァ、なんで猛ダッシュでここまでこないと行けないんだよっ!!」
霍 「……ゼェ、だって、お湯につかってスッキリーハレバレーするには、それなりに疲れをためといたほうが」
淫 「だからって長屋の管理人の家のガラスぶち破らなくてもいいだろ!! なんだよ、いきなり石なげやがって! 【いしなげんじょ】か、お前は!!」
霍 「なんとなく走るよりも、本能から走る状況をつくったほうがイイと思って……」
淫 「なんだそれ!!」
霍 「でも、銭湯、着いたから、早く入ろ入ろ」
淫 「オイ、ちょっと待てよ」
霍 「なに?」
淫 「入り口しまってるぜ、営業してんのか?ここ」
霍 「やだなぁ、いんちゃん、何週間も前から出来た出来たって話きいてるんだからそんなハズ……、あれ?」
淫 「ほら見ろ、戸が開かないじゃないか」
霍 「おかしいなぁ」
ドンドン、ドンドン、
霍 「もーしもーーーし、銭湯休業ですかーーーっ??」
淫 「(戸に耳をつけて)いたって静かだな……」
霍 「もーしもーーーーーーーーーし!!」
ガタッ
淫 「お、何か音がしたぞ」
霍 「今日、おやすみですかーーーーーーーーーっ?」
声 「――ばすワードをドウゾ」
淫 「なんか中から声がしたぞ」
霍 「ん?」
声 「――ばすワードをドウゾダッテバ」
淫 「なんか合言葉を言えとか言ってるぞ、中のヒト」
霍 「あ、そうだ、そういうのが要るってチラシに書いてあったっけ、あのーーーー、はじめてのお客なんです」
声 「――初回のお客様はこちらに署名をして下さい」
ペラペラペラっ
淫 「なんだ、急に半紙が飛んで……きやがって……よっと、なになに、住まいと名前と化け年月日をご記入下さい――?」
霍 「書いたよーーーーーー」
淫 「早いなおまえ」
霍 「速記技能は一級もってるからね」
淫 「おま……速記文字のままじゃグニャグニョで読めなくてダメだろ、もういっぺん書け」
霍 「えーーーー」
淫 「(項目を書き終えて)と、こんなの書いて出さなきゃ入れないのか?この銭湯は」
声 「――セキュリティのためですのでご了解クダサイ」
霍 「はい、書けました」
淫 「お、また飛んでった、便利なもんだ」
霍 「これで入れますかーーーー?」
声 「――それではどうぞお入りクダサイ」
ガラガラガラガラッ
淫 「お、開いた開いた」
霍 「これでやっとお湯に入れるねー」
番台 「いらっしゃいませ」
淫 「あ、ども」
霍 「ふたりでーす」
番台 「では、こちらの専用カギをご持参ください、あ、後でカギに【ばすワード】を設定しておいてください、次回のご来店からそれで入れますので」
霍 「かしこまりんこです」
淫 「おい、ずいぶんカワイイ番台さんだな」
霍 「さっそく気に入りだしたね、いんちゃん、でもアッチ見てみなよ、ほら」
淫 「アッチってどっちだ……お」
霍 「すごいだろ、だーかーら、面白いって言ったんだよ」
淫 「(ゆっくりゆっくり歩いて寄って)スゴイな、これは」
霍 「でしょう」
淫 「これはマズいんじゃないのか……? さすがに」
霍 「あーあー、そんなにのぞきこまないでよ、ガラスが割れて怒られちゃうよ」
淫 「だって、くもっててよく見えねぇ」
霍 「あとで、あとで、まずはお湯に入ってからだよ」
淫 「……チェっ、まぁお前に泥パックされたからな、マッドゴーレムに間違われるのもシャクだから、とっとと洗うか」
霍 「入ろう入ろう」
チャプーン、ブクブク――
淫 「ふぅ、これだけ広い浴槽にヒツジのばけもの二匹だけってのは、アルプスの高原みたいでのびのびするな」
霍 「お客さん、あんまり居ないんだね」
淫 「いや、洗い場のほうから声がしたから、他にも客はいるだろ」
霍 「そういえばさ、いんちゃん、知ってる?知ってる?」
淫 「またはじめやがって、なんだよ」
霍 「オフロデブクブク……」
淫 「バカ、おならの出るまじないじゃねぇか、それ! やめろ!!」
霍 「(沈められて)ゴボッ、ブクブクブク……あ、いんちゃん、他のお湯にも入ってみる?」
淫 「なんだ、他にも種類あるのか?」
霍 「そうだよ、洗い場の先に階段があって、そこをおりてくと、もう一個、これより広いお湯があるんだよ」
淫 「なんだ別のゾーンがあるのか、だからこっちの浴槽の人口が少ないんだな、よし、そっちにも入りに行こう!」
霍 「あ、さっきのやつはまだいいのー?」
淫 「ん? アレか、アレは……、あがってからのお楽しみだろ」
霍 「そうだけどさー、早くしないと無くなっちゃうかもよ」
淫 「あれだけズラッと並んでたんだから、そう心配はいらねぇだろ、ほら、はやくあがって、そっちのお湯行こ」
霍 「わかったよ、待って、待って」
淫 「ここか、もう一個のお湯は」
霍 「あ、なんか説明板がぶっさしてあるね」
淫 「ほんとだ、……ここのお湯は八熱地獄のさい果て地区、不賢善渡処(ふけんぜんとしょ)から熱湯をくみとっております……」
霍 「アッッっっつつーーーーーーーーーーーーーーー!! いんちゃん!! ここのお湯、めちゃくちゃ熱いよ、ここのお湯!!」
淫 「まったまた~、こんな……アッツーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!! なんだこれ、お湯と高温フッ酸と間違えてんじゃないのか!?」
霍 「でしょ、熱いよね」
淫 「(湯気をはらいながら)でも、湯のなか入ってるヤツはチラホラいるな……」
霍 「いんちゃん、いんちゃん、湯船の真ん中らへんは温度が低めですって書いてあるよ」
淫 「真ん中が温度低いって言われてもお前、こんな【ぬりかべ】八百枚分ぐらいの広さの浴槽で、どうやって真ん中までスイっとたどり着くんだよ」
霍 「ここの戸板に乗っかって真ん中まで行けってさ」
淫 「へ?!」
霍 「この戸を浮かべて行けって書いてあるよ」
淫 「いかだみたいにチャプチャプ行けってのか、ハックルベリーじゃあるまいし……」
霍 「とりあえずさ、この戸を……おっとととととと」
バション
淫 「アッツーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
霍 「ごごごごめん、はねた? とんだ? ぶっかかった?」
淫 「こうなっちゃうことはわかるだろ! もっと静かにやれよ!!」
霍 「泥のせいですべっちゃってさ」
淫 「いつまで泥まみれにしてんだよ!いいかげんに手ぇ洗えよ!!」
霍 「はははは、ま、戸は浮かんだから乗って乗って」
淫 「乗るときは静かにしろよ、ひっくり返ったらヤバいんだからな」
霍 「だいじょぶ、だいじょぶー」
淫 「バカ、スキップするんじゃなねぇよ!! ほら、少し先のほう見てみろ! 戸がプカプカ浮かんで脇にホネだの目玉焼きだのが浮かんでるだろ」
霍 「あ、ほんとだ何だかプカついてるね」
淫 「ありゃきっと、うっかり、戸が転覆してオダブツしたに違いねぇ」
霍 「ええええええええぇぇぇぇ!!?」
淫 「だからゆっくり乗れ」
霍 「えぇぇ……わかったよ」
淫 「よし、そうそうそう、ふぅ、……よし、これでアッチに行けるな」
霍 「乗ったはいいけどさ、この戸、どうやって進むの?」
淫 「ん?」
霍 「櫓(ろ)とか櫂(かい)が無いじゃん」
淫 「…………」
バシャバシャ
淫 「あんまりはねさせるなよっ、アツいんだからっ!!」
霍 「オケで……進むの……って大変……だねっ」
淫 「呼吸あわせろっ、戸板が揺れるっ!!」
霍 「あっ、いんちゃん、さっきのオダブツしてたおばけの事だけどさぁっ」
淫 「なんだよっ」
霍 「ホネはわかるけどっ、なんで目玉焼きも浮いてたのっ!?」
淫 「一ッ目か三ッ目か知らないけどっ、おおかた目玉のおばけのなれの果てだろっ!! おまえ、こんなにアツいっ、お湯の中ならっ、あっという間に加熱されちまうだろっ!!」
霍 「でもさっ、熱湯にくぐったんならっ、目玉焼きよりゆでたまごにっ……」
ゴツッ
淫 「おおおおおっおっおっおっ!? なんだなんだっ?」
霍 「あ、いんちゃん、誰かに追突しちゃったよ!」
淫 「だ、だいじょぶですかっ!!? すみません、ツレがバカな事くっちゃべってて、前方不注意に……」
鬼 「もぅ……気をつけてよねー」
霍 「あ、綺麗なおにぇーさん」
淫 「バカ、はやくお前もあやまるんだよ」
霍 「ごめんなさい」
淫 「どうぞカンベンしてください」
鬼 「ま、いいわ、あなたたち、このお湯はじめて?」
霍 「はじめてです」
淫 「ええ、でもスゴイですね、こんなアツい中に悠々と入って」
鬼 「勤め先が【阿鼻地獄】だから、こんくらいのお湯ならフツーよ」
霍 「わ、このおにぇーさん、地獄通勤の鬼さんだよ、獄卒だよ、冥吏だよ、キャリアだよ」
淫 「動くなよっ、戸板がシズムっ!!」
霍 「ごめ、あ、おにぇーさん、なんでこのお湯はこんなにアツいんですか」
鬼 「そうね、不賢善渡処(ふけんぜんとしょ)は非実在なものが行く地獄だから、この世じゃありえないぐらい非現実な温度に設定されてるのよ」
霍 「へー、そうなんですかー」
淫 「それにしたってこれは高すぎだぜ」
鬼 「だいじょぶ、浴槽の真ん中あたりはそこら辺の温泉ぐらいの温度だから」
淫 「はい、どうもすいませんでした、じゃあ、どうも……」
霍 「ごめんなさーーい」
チャプチャプチャプ
霍 「でっ? 非実在なものってのは何なの? 誰なの?」
淫 「またクエスチョンかよ、ほら、あるだろ、本だとかテレビとかで、この作品は架空のもので実在の人物、団体、事件とは一切関係ありませんってのが」
霍 「うんうん」
淫 「そういうのに出て来るヤツとかのことよ」
霍 「そういうのも地獄に行くんだ――じゃ、高級料理店のお寿司もその仲間だね」
淫 「なんでだよ」
霍 「本とかテレビとかでさ、あいつらが出て来るとさ、すごく美味しそうでさ、見ててなんだか半分食べたような気になるじゃん、一切食べれないけどね、非実在高級料理でしょ、これ」
淫 「バカ、そういう店に行って金はらえばそんなの食えるじゃんか、実在だよ、大実在」
霍 「でもさ、どんなミラクル長者でも十年毎日毎食食うってのは無理でしょ、ついにはニッチもサッチも首が回転できなくなって悪事に走ってでも食べちゃう、こういうのが罪つくりだから地獄に行くんでしょ?」
淫 「大いに大間違いだぜ、消費者がどうだこうだの問題以前に、マジメに寿司つくってるお店の板前は大メーワクだろ」
霍 「でもさ、クロマグロはもうじき条約でダメになって、想像上でしか味わえなくなったりするからさ、非実在になるよ」
淫 「クロマグロだ? いちばんうまいのはイカだぜ、イカ!!」
霍 「えーーー……、そうかなぁ……、ま、いいや、じゃ、あれだ、くぐりぬけると好きな場所に行ける扉とか、星を軽く一発で破壊できるバクダンとかだ」
淫 「そういうのも違うよ」
霍 「非実在道具じゃない?」
淫 「あれはおまえ、とりあえず所持合法ってことになってるだろ、そういうのは非実在ってのの仲間じゃねぇな、ほら、漕げっ!」
霍 「わかったよ、(チャプチャプ)でもさ、ほら、バーチャンでしょ?」
淫 「バーチャルだろ、バーチャル、年寄りは関係ねぇんだよ」
霍 「若いのが関係あるの?」
淫 「そだよ、若すぎるといけない……お、そろそろ真ん中についたんじゃないのか」
霍 「え……、あぁ、ほんとだ、直接お湯に入ってるひとが多くなって来たね」
淫 「ちょっと温度はかってみるか」
霍 「だいじょぶ?」
淫 「(チャプ)うん、入れるぐらいのアツさだ」
霍 「じゃ、入ろ入ろ!」
ドップシャーーーーーーーン
淫 「(ブクブクブク)」
霍 「おぉぉーーー、いいお湯だぁーー」
淫 「(ブクブク)」
霍 「あれ、いんちゃん?いんちゃん?」
ザバーーーーーーッ
淫 「バカ!!いきなり飛び込むヤツがいるかよ!戸がひっくりかえるだろっ!」
霍 「あ、ごめん、いやーいきなりいなくなっちゃったからビックリした」
淫 「銭湯の中ではしゃぐもんじゃねぇぜ、まったく、他のお客のメーワクになるだろ!」
霍 「広い空間に出ると、ついつい開放的な感覚におそわれるんだよ」
淫 「お子様みたいなこと言うんじゃねぇよ」
霍 「あ、ひどい、お子様あつかいしてー、こう見えても育つところはしっかり育ってるよ!」
淫 「ゎっ!!そんなトコに手ぇ持って行くんじゃねぇよ!」
霍 「いいじゃーん、ほらほら、こんなに、たわわに、健全に育って」
淫 「バカ、やめろ、まわりのヤツらが何かと思って見るじゃんかよっ!!」
霍 「いいじゃんさー、減るもんじゃないし」
淫 「そりゃ減りはしねぇけど、ほくろの大きさなんかどうでもいいんだよっ! もういいっ、あがるぜっ!!」
霍 「あ、待ってよー」
ドップシャーーーーーーーン
霍 「あー、いいお湯だった、いいお湯だった」
淫 「しばらく戸に乗っかるのはごめんだぜ」
霍 「あ、いんちゃん、はやくしなきゃ!!!」
淫 「いてっ、いきなりひっぱるなよ、まだウールが乾いてないっ」
霍 「だって、はやくしないとアレが無くなってるかもしれないじゃん!」
淫 「アレって……ああ! 番台のそばにあったアレか」
ドタバタドタバタ
霍 「あーーーーっ、まだだいじょぶだよ!!だいじょぶ!ほらほらほらほら!!まだウジャウジャいる!」
淫 「ウジャウジャって、虫じゃねぇんだから……大声だしてはしゃぐなよ」
霍 「そんなこと言いながら、いんちゃんだって、目キラキラさせてジーッと品定めしてるじゃん」
淫 「うっ、うるせぇな!!」
霍 「あっちの小ぃちゃいのもカワイイけど、やっぱりデカいほうがいいかなぁ」
淫 「デカいのってどれだよ」
霍 「ほら、あれ」
淫 「お前、あんなのデカすぎて手で持つのも大変だろ」
霍 「飲むならいっぱい飲みたいもん」
淫 「飲むにも限度ってもんがあるだろ、こっちにしとけ、こっちに」
霍 「えーーーー、普通すぎるよーーー、カッコイイけどさー」
淫 「番台さん、これと、それ……オーダーオーケー?」
番台 「えぇ、こちらと、どちらですか?」
淫 「それを……」
霍 「あーーーー、いんちゃんズルい、自分だってデカいの選んでるじゃーーーん」
淫 「バカ、お前みたいにみだりに見た目で刺激されてるワケじゃないぜ、見てみろ、あんな味があるなんてそこら辺じゃゼッタイにお目にかかれない一品だぞ」
霍 「そんな味があるとは思わないもん」
番台 「申し訳ありません、お客様、あちらに並んでいるものでしたらお売り出来るのですが、こちらに並んでおりますのは看板として飾っておりますものでして、お売りは出来ませんので……」
淫 「え?」
霍 「非売品ってこと?」
番台 「はぁ……ここのガラス棚に並べております分は、店のあるじが趣味で作りましたもので」
霍 「そうかー、どうりで変てこ過ぎる味があると思った、【ホイスヒェンプフェッファークーヘンハウス】味ってどんな味なの?」
番台 「そちらは、【レイプクーヘン】というドイツの焼き菓子の風味を主体にして、お菓子の家の味がするという設定でございます」
霍 「そうなのかー、だからビンに魔女が焼け死んでる絵が印刷してあるんだ」
淫 「おぃ、設定……って事は、番台さん、ここのは全部実際には無いのか?」
番台 「はい、ここのあるじはことのほか牛乳マニアでございまして、ビンの大小や珍しい味の収集がこうじて、こんなものを作るまでに」
霍 「あ、いんちゃん、これこそ非実在牛乳だ」
淫 「なんだよ……、ならそうだとキチンと書いていてくださいってんだ!!ちぇっ、無いのか……この【議事堂】味の牛乳……ラベルとかもものすごくカッコイイのに……」
霍 「いんちゃん、冷静に考えてみなよ、もし実在しても、【政敵】感情を刺激しすぎて売れない」
■いんよう(淫羊)――淫羊霍という草を食べてるという羊で、ものすごく絶倫。
2010.03.11 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 小説