二十三句すだま辻占

●もうちょと大きく画をしとくれナ、という方はここをクリック。
1■りんごのかい(林檎怪)――採り残されたりんごの実のおばけ。
「どんな綺麗な花びらとても落ちた上にて実をむすぶ
2■くじゃきょう(駆邪鏡)――邪魅たちを照らし払う力があるというふしぎな鏡。
「おのが心を善悪ともに鏡にうつして見やしゃんせ
3■ばけおかじょうき(化け丘蒸気)――機関車のおばけ。結局のところの動力は足の筋肉。
「小さな石でも邪魔する時は大きな車も動きゃせぬ
4■まくらがえし(枕返し)――眠っている人のまくらを取ってその人の足もとに置いてしまうおばけ。
「こわい峠を忍びて越せば今じゃまくらで高いびき
5■かつらおとこ(桂男)――月のなかにすんでいるという美男の君。これに招かれると寿命が縮む。
「水に映れるあの月影は見えるのみにて手に取れぬ
6■みぞいだし(溝出)――きちんと葬られなかったガイコツのおばけ。
「そこはみぞだよ用心しゃんせ後へ返れば怪我は無い
7■こだま(木霊)――樹木に宿っているという精霊。
「野辺に生えたるあの若松も末にゃ枝葉の生いしげる
8■がんばりにゅうどう(がんばり入道)――便所にでるおばけ。大晦日に「がんばり入道ほととぎす」と唱えると一年禍事が無いとも。
「声はすれども姿を見せぬ雲間がくれのほととぎす
9■くびきれうま(首切馬)――首のない馬のおばけ。
「パッとお馬に乗り換えしゃんせ願いかなわぬ事はない
10■さかばしら(逆柱)――根っこを上にして建てた柱に宿るおばけ。家に災いを招きよせたり、「やなり」を大量発生させたりします。
「元は双葉の芽ばえじゃけれど家となるよな樹にもなる
11■おおはしがみ(大橋神)――甲州の玉諸神社のちかくにあった大きな橋の神様。ほかの橋をほめるととっても怒る。
「ひとのあつまる両国橋はつねに喧嘩の絶えやせぬ
12■かごのとり(篭の鳥)――羽根はかわいくきれいですが、小さいかごの中に押し込められているおばけ鳥。
「やっと苦界のかご飛び出して空に羽をのす放し鳥
13■おおがま(大蝦蟇)――術使いたちが奇術で呼び出す巨大ながまがえる。「まんまと奪い取ったるこの一巻しめたしめた」
「勘定づくには浮世はゆかぬ損して徳とる事もある
14■はんじんはんじゅう(半人半獣)――畜生道に落とされた人間。馬とかに人の顔がついてる。地獄馬とも。
「三世相にもよくあるやつよはじめ悪くてあとは良い
15■ぐにょひ(倶如曦)――ものすごく赤くて明るい光を発するひかりもの。
「ぬしとわたしは旭のようよ昇るばかりで下りゃせぬ
16■ねぶとり(寝肥)――これに取り憑かれると眠る間にどんどん体が巨大に太りだすというおばけ。
「寝込みに持ち込むこのぼた餅はほんに嬉しい口果報
17■こいすちょう(恋す蝶)――ふわふわうきうき飛び回るかわいいちょうちょ。
「おとこ心はあじさい花よいつとさだめぬ花の色
18■えちごのゆきおんな(越後の雪女)――雪のふぶいている日に出るというおばけ。
「雪をかきわけ桜は咲かぬとかく時節を待つがよい
19■ずいこうじゅ(隋侯珠)――真っ白くてキレイな光を発するふしぎな玉。むかし、隋侯に大けがを治してもらった蛇がお礼にくれたとか。
「玉も包めば光が知れぬ主もこころを明かしゃんせ
20■ふるうつぼ(古空穂)――古くなり放りっぱなしにされたうつぼ(矢を入れる武具)のおばけ。
「たとえひとたび外るるとても思う的なら外しゃせぬ
21■はんやがいけのだいじゃ(はんやが池の大蛇)――備中の奈良熊の、はんや長者という人の娘でしたがこの池に入って大蛇となりました。
「ぞっとするよな器量の上に錦きせたらなお良かろ
22■たこのけんぶつざえもん(蛸の見物左衛門)――佐渡から都見物左衛門をすべしと人間に化けて旅に出たという大だこ。
「はじめ深山(みやま)にすまいをしても末にゃ都の月をみる
23■むすぶのかみ(結ぶの神)――ひととひとを縁の綱でむすびつけるかみさま。
「こころ清けりゃ末にはついに味噌こし捨てて玉の輿
2010.12.31 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 色物